インプラント治療費用の仕組み

インプラント治療の料金の疑問にお答えします

インプラント治療に興味はあるけど「安全性はどうなの?」「手術は痛くないの?」「どれくらいもつの?」など人によって疑問は様々あると思います。今回はインプラント治療にかかる費用や料金についてお伝えしていきます。

1.インプラント治療の治療費用・料金の違いって何?

インターネットで「インプラント 治療費」で検索すると、1本7万円~とか、総額で13万円といった広告を目にすることもありますが、一般的に1本あたり35万円 ~ 60万円かかると言われているインプラントの治療費の違いはどこにあるのでしょう。

1-1.インプラント治療は保険適応外の自由診療

インプラント治療は一部の例外を除いて健康保険適応外の治療で、自由診療(自費診療)に分類され、基本的に治療費は全額患者さんの負担となります。

一部の例外とは、先天的(生まれつき)や事故、病気などで広範囲に顎骨を失った方で、厚生労働省の定めた条件を満たす医療機関(入院用のベッド数が20床以上ある病院の歯科や歯科口腔外科など)で治療することに限定されているため、一般の歯科医院でインプラントの保険治療を行うことは、まず不可能であると言えるでしょう。

1-2.インプラント治療の「治療費用・料金」に含まれるもの

インプラント治療における「治療費・料金」とは、治療を始めた時から最終的な歯を装着するまでのすべての治療や診察にかかる総額の費用になります。そこで、費用に関わる一般的なインプラント治療の流れを改めて確認していきたいと思います。

  1. 口腔内所見(口腔内を視診して、歯を失った原因と最適な処置について診断します。)
  2. レントゲン撮影(欠損部位や周りの歯、口腔内全体の顎骨の状態を診断します。)
  3. 模型作製(咬み合わせの確認や最終的な歯の設計に使用します。)
  4. CT撮影(レントゲンで診断できない神経や血管の位置を正確に診断します。)
  5. コンピュータ設計(最適なインプラントポジションを3次元的に計画します。)
  6. 手術に使用する材料・器具(外科器具・インプラント・アバットメント・手術着など)
  7. 手術補助システム(安全で正確に手術を行うための手術用ガイドの作製)
  8. 術前の投薬や口腔内のクリーニング
  9. 局所麻酔(浸潤麻酔)や歯科麻酔専門医による静脈内鎮静法麻酔と全身管理
  10. インプラント埋入手術(専用オペ室・インプラント埋入用キット・専用エンジンなど)
  11. 骨再生術や骨造成術など追加手術用の材料や特殊器具など
  12. 術後の仮歯製作および装着、調整
  13. 術後の検査や消毒、抜糸など
  14. 経過観察期間の衛生管理と仮歯の咬合調整
  15. 最終的な歯の型採りと製作(歯科技工士による歯の色合わせと形態修正)
  16. 最終的な歯の装着および調整

以上の項目に該当する診療のすべてがインプラントの治療費の総額になるため、インプラントの治療費を患者さんにお伝えする場合は、治療を始める前にすべての診療内容を想定してから治療費をご提示する必要があります。

1-3.インプラント治療にかかる材料の原価

例えば、インプラント本体であれば使用するメーカーによって、1本約1万円から約5万円と材料コストにも大きな差があります。また、手術を行うときに行う感染防止のための滅菌・消毒についても歯科医院によって対策は様々です。術者(執刀医)や介助者が使用するマスクや帽子、手袋、手術着などは、滅菌済みで使い捨てになるため、1回の手術で1万円程度かかります。

このように使用する材料や器具だけでも大きな差があるため、仮に1本10万円でインプラント治療を行うためには、より安価なインプラントを使用するなど材料原価を削減し、上記治療項目のいくつかを省いていくしか方法はありません。単に高額なインプラント材料が優れていると断言はできませんが、インプラント治療を安全・確実に行うためには、いずれも欠かすことのできない診療項目であり、患者さんのことを最優先に考えるなら、滅菌・消毒の行き届いた環境をつくり、科学的根拠の示された世界標準のインプラント材料を使用してインプラント治療を行うべきだと考える歯科医師も多いはずです。

2.知っておきたいインプラントの種類や料金について

歯科用のインプラントメーカーは、現在、全世界に100社以上存在していているとされています。ここで皆さんにアドバイスしたいのは、インプラント治療は完全なものではないということです。時には、被せ物が外れたり、欠けたりといったトラブルや、場合によってはインプラントが脱落するような大きな問題が発生することもあります。また、引っ越しや海外赴任によって、かかりつけの歯科医院の診療が受けられなくなることも考えておく必要があるでしょう。

このようなトラブルに対して再治療を行う場合、患者さんのお口の中にどのメーカーのどの種類のインプラントが使用されているかという情報が必要になります。患者さんご自身がインプラントメーカーの品質を把握することは難しいと思いますが、どのような種類のインプラントが使用されるのかについては、事前に確認しておいた方がよいでしょう。

3-1.術前の診査・診断・治療計画にかかる費用 30,000円~50,000円

上記、1-2の①~⑤の項目にあたり、インプラント治療を成功させるために最も重要なステップと言えるでしょう。特にCTによる精密画像診断とコンピュータ・シミュレーションによる3次元的な治療計画は、神経麻痺や大量出血のリスクを回避するためにも必要不可欠であると考えます。

※サージカルガイド料金:
安全にインプラント埋入を行うためにサージカルガイドを使用する歯科医院が増えています。インプラント体の埋入をフリーハンドで行うことで、インプラント体の位置、角度、深さなどが予定とずれることがあり、それを避けるために使われますが、このガイドの作成料金が50,000円~100,000万円以上します。

3-2.インプラント埋入手術にかかる費用 100,000円~300,000円(インプラント1本)

1本のインプラントを埋入する際にかかる費用として、

  • 術前の投薬とクリーニング
  • 滅菌済みの手袋や帽子、手術着など(原価として約10,000円)
  • 手術室と手術用器具の滅菌・消毒
  • 局所麻酔
  • インプラント本体とアバットメント(原価として約50,000円)
  • 生理食塩水やガーゼ、縫合糸など

上記項目の他、様々な機材の購入費用や人件費、そして、技術料(手術料)が加算されたものが手術に関する総額の費用となります。

3-3.仮歯とアバットメントにかかる費用 仮歯1~2万円、アバットメント数千円

通常であればインプラント手術の2~3カ月後にアバットメントを交換して上部構造(被せ物の仮歯)を装着して咬み合わせの調整を行います。

3-4.最終上部構造(被せ物)にかかる費用 セラミックやジルコニアで10~18万円

仮歯で約1カ月間過ごしていただき、咬み合わせに問題がないか注意深く観察してから最終的な型を採り、最終的な歯を作製します。最終的な歯は専門職である歯科技工士によって、周りの歯と調和のとれた色調や質感に仕上げていきます。

4.インプラント治療にかかる費用総額

上記3の総額以外にも、骨再生術や骨造成術などの追加手術が必要な場合は5万円~20万円程度の追加費用がかかります。また、恐怖心の強い方や全身的管理が必要な患者さんに使用する静脈内鎮静法による麻酔は、別途6万円~10万円程度かかります。

結論としては、インプラント治療にかかる費用総額は40万円~60万円で、別途追加手術費用や麻酔代、そして、治療後のメインテナンス費用がかかるため、「1本〇万円」といった広告に飛びつくことなく、すべてを考慮したうえで受診する歯科医院を決めていただきたいと思います。

まとめ

インプラント治療はメリットの高い治療ですが、その分治療費も高額になっています。治療費には使用する材料や滅菌・消毒環境に対する考え方によっても大きく差が出るため、金額だけにとらわれることなく、将来的な修理や再治療のことも考慮して、十分納得してから治療を受けられることをお勧めします。

また、経済的にインプラント治療ができない方は、ブリッジや入れ歯という、健康保険適応のインプラントより安価な治療法もありますので、かかりつけの歯科医師に相談して、ご自身にとって最良の歯科治療をみつけてください。

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